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 明久は素知らぬ顔で、ページをめくっている。読書続行ということらしい。  その様子にますます困惑した。  いつのまに率先して本を読むようになったのだろうかとか、ついに学問に目覚めたのだろうかとか、気になることはあるが、それ以前に、そもそも今日の目的地はここだったのだろうか?  聞きたいことはいくつもあるのに、明久は腰をあげる様子がない。  礼一はため息をつくと、今きた道を戻った。問うことができるまで悶々過ごすのは時間の無駄だと、悟ったからだ。  目当ての本棚にたどり着くと、自分が読む本を物色する。時間があるときに読もうと、後回しにしていた比較的薄い本を手に戻ると、明久の隣に腰掛けた。  明久は、こちらを一瞥しただけで、また本の世界に戻ってしまった。  いつまでここにいるのかわからないが、しばらくは本を読むことになりそうだ。  礼一も持ってきた本のページをめくると、文字を追い始めた。  気がついたら、一冊読み終えていた。  いつのまにか日が傾いていて、窓から差し込んでくるオレンジ色の夕日が、館内の明かりにまじっている。  近くに数人いた利用者はいつのまにかいなくなっていて、礼一と明久だけだった。     
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