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つがいを持っているオメガはつがい以外の相手と性行為を行うと、強い嫌悪感に襲われ、嘔吐してしまうなど、満足に情事ができないらしい。
唯一のつがいに操を捧げ、不貞行為を許さない。
それが噛み痕ーーつがいを持ったオメガの生涯だ。
とはいえ礼一は、もともと誰ともそういう行為をするつもりはなかった。
だから今まで通り周期になったら部屋にこもり、ヒートを耐え凌げば、わざわざ明かす必要もない。
明久に口止めをし、そして礼一は両親に噛み痕に気づかれないように振る舞えば、何事もなかったかのように過ごせるのではないだろうか。
オメガの礼一と違って、アルファの明久は他につがいを持つ事も可能だ。
だから明久さえ今回のことをなかったことにしてくれさえすれば、穏便に済ますことができる。
しかし、先の行動ーー何が勘に触れたのかわからないが、「家人の前で犯す」と脅されたことーーでもあったように、礼一の想像の範疇を超えたことをする可能性があるから、なんとしても同意を取っておく必要がある。
どう説得すれば同意を得られるだろうか。
次の発言を考慮していると、
「ーー本当に他では解消しないんだな?」
真剣な面持ちで、念を押される。
確認されるほど、おかしなことを言ったのだろうか。まさかまた地雷を踏んだのだろうかーー?
おそるおそる頷くと、
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