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「わかった。礼がそうしたいなら、誰にも言わない」  心配をよそに、思いの外あっさりと許諾を得ることができた。礼一は思わず目を瞠る。 「いいの?」 「俺はそこに特にこだわりはない。礼が気にしてたからさっさと済まそうと思っただけだし、言いたくないならそれでいい」  そう淡々と告げる明久は、思いの外機嫌が良さそうだった。病院に出かけたあたりから「意識はここにあらず」といった様子だったが、いつのまにか調子を取り戻しており、その面持ちは幾分満足そうだ。心なしか緩んでみえる口元がゆるりと開くやいなや、 「そういうことなら、学校も寮から通う」  了解の言葉を紡ぐ。 「あ……うん」  なにがどうしてそうなったのだろうか。  礼一のヒートのことを気にして、家に戻ってくるといった。くわえて義理堅くも、『ヒートの世話』までする気でいるようだった。  その申し出を礼一は断ったのだ。  両親に打ち明けることも含めて、気にしなくていいと告げたはずなのに、話を終えてみれば、明久は存外機嫌が良い。     
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