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 その日も礼一(れいいち)は小学校からまっすぐ下校し、家に着くなりリビングダイニングで問題集を広げた。  帰宅後は予習をすることが日課だった。予習、と言っても今の学年ーー六年生の問題ではない。来春から中学校に進学するが、それ相当の問題集を説き進めていた。だからといって根を詰めているわけではない。新しいことを覚えることはわくわくしたし、とても楽しかった。  今日も帰り道に楽しそうに駆けていく集団に、いくつもすれ違った。小学生といえば、遊びたい盛りらしい。らしい、と曖昧に思うのには、礼一自身がそれに当てはまらないと感じるからだ。  思い起こせば小学校に上がる前から外遊びよりも、室内でじっと絵本を眺めていることが多かった。だがけっして外遊びが苦手というわけではなく、二つを天秤にかけた結果、そちらの方が優っただけだった。そして字が読めるようになると、ことさら一人遊びに熱中した。     
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