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礼一が通う慶世学園は私立学校で、基本的にエスカレーター式である。そのため編入生がごくたまに入ってくる以外は、ほぼ見知った人間ばかりなのだが、毎年クラス替えはある。
中学二年生に進級したこの春も、例に漏れずクラス替えがあった。まだ一週間しか経っていないというのに、男子も女子もすでにグループができあがったようで、小休憩になると教室は騒然としていた。
一方礼一はというと、どこにも属していなかった。というのも、年のわりに落ち着いているせいか、会話はするものの、続く友人関係にまで至らない。男子が集まると、流行りのゲームの話や、スポーツの話で盛り上がるのだが、深い話までされるとついていけない。彼らが夢中なものは大抵、うわべしか知らないのだ。彼らも、礼一が自分たちと違うという空気を感じとるようで、次第に別のところで群れをつくるようになった。
とはいえ、陰湿なものではなく、内容によっては話を振られるので、付かず離れずといった距離を保っていた。礼一自身も深追いするたちではないので、日常生活に差し支えがない程度の関わりでまぁいいかと思っている。
「神上~、飯食いにいこーぜ」
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