10人が本棚に入れています
本棚に追加
―練習の成果と今後の展開―
ルークは、なかなか力の制御ができないようだった。
一方、カィンは早い段階で、ミナと同じように、相手に届けるまでの地面を動かさずに文字を届けることが可能になっていた。
カィンは修練の成果だろうと言ったが、ルークは納得できなかった。
「僕も修練したんだよ!?」
ミナは口元に手をやって、考える。
「んー、あっ、そだ、地面のなかの捉え方の差かもしれない」
「捉え方の差?」
首を傾げるルークに、ミナは頷いてみせた。
「そうです。土中を探るとき、とにかく力を広げて異物を探しませんか?」
「僕、そもそも土中を探らない」
「なるほど」
ミナはちょっと笑って、言った。
「じゃあ、試してみましょう。足元に集中して。振動がたくさんあるでしょう?」
「あっ、うん、前にちらっとやったね。振動、判るよ」
「振動は円形に広がっています。その中心に、人や獣や鳥、それに木もあるんです。もっといえば、水場も判りますが…取り敢えず今は、近くに集中しましょう。ほとんど動かないもの、動くものがありますね。そのなかから、ムトを追ってください。目で追っちゃだめですよ」
言われて、ルークは目を閉じた。
だが、振動は判るものの、1人1人の違いは判らない。
「人の違い、判らないよ」
「ムトを思い浮かべてください。同じ土の気配がするはずです。大きいけど、カィンほどじゃない」
「んー…」
ルークは集中してみた。たくさんの振動を発するものを辿ってみる。
すると、人や木の区別が付き、人のなかでも、自分と同じ土の力、風の力を感じることができた。
それは、目で見るよりも確かなものだった。
その感覚に興奮したが、ルークは堪えて、ムトを探した。
まず、カィンは除外。
いくつか土の気配があるなかに、ムトと思われる力量を見付けた。
「たぶん見付けた」
「じゃあ、今度は力を発する。細く長く、円の間をすり抜けて、地表に出る。手を上げて、と書いてください。終わったら、目を開けて」
ルークは、先ほどの要領で、だが今回はずっと小さく、読める程度に、文字を書いた。
ムトを探して見ると、何やら違和感を感じたらしく、足元に目をやって、驚いた表情をした。
それから、ミナの方を見て、片手を上げる。
「今度こそ成功だ!?」
「ちょっと行って見てきましょう、文字に問題がないか」
最初のコメントを投稿しよう!