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「じゃあ、彩石湯張ってもらいましょう。パリス、マルクト、いいかな」
彩石湯とは、彩石で作る、彩石の力を混ぜ込んだ湯で、体のなかの乱れた異能の力を正常に戻す働きがある。
ミナは、パリスとマルクト・シラキウスに、溶かして湯に混ぜ込ませる彩石を指定して渡した。
今のところ、騎士団のなかに、彩石湯を作れるのは、このふたりだけだ。
ルークたちが練習を終了したのを見て、騎士団と親衛隊の面々も、練習を終了することにしたらしい。
皆で宿に戻り、汗を流す者は流す。
そうして19時に食堂の大きな個室に集まり、食事を摂った。
食後はほかの客もいる談話室に行って、ルークとミナとカィンは、今日の成果を話し合った。
「どの方法もルークとカィンにはできてしまいましたけど、それって現在行われている修練のおかげだと思うんです。あれは、基本とするにはすごく適していると思います」
修練とは、サイジャクを使って、異能の発現と停止を繰り返し、力の扱い方を緻密に行えるように鍛えるものだ。
ミナの言葉に、ルークは頷いて言った。
「そうだね。僕もそう思うけど、その考えに囚われていてもいけないと思うんだ」
「あの方法のいい点は、使うのが1カロンの彩石であることだと思います。ほかの方法でも、それを基盤に考えてみては?例えば、サイジャクでなく、サイセキ、サイゴクに代えて考えてみるんです」
「うん、それもいいかも。でも、危険じゃない?特に火は」
「そうですねえ、打ち消せたらいいですよね。例えば、1カロンのサイゴクで火を発する。1カロンが消えるなんてすぐです。消えたところで火を止める訓練をする。余分な火は、消火石で消すんです。まあ危険なことに変わりはないか」
消火石とは、消石類というサイセキの種類のなかのひとつで、火を消すことができる。
「うん、危険…」
「でも、火に慣れないといけない、という所もあると思いますよ」
「火に慣れるかあ…」
「あと、サイセキを使う。それこそ消石類とか」
「うん、そか、出てきた土、風、水、火を消すんだね」
「そうです。その場合、火はやっぱり危険」
「うん…、火でできる方法を探さなくちゃね…」
その発見は望みが薄そうで、ルークは肩を落とした。
それを見ながら、ミナが言った。
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