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朝早く
ルークは急いで廊下を渡り、階段をおりて宰相執務室の扉を叩いた。
期待した通り、なかから応えがして、ルークは急いで部屋に入った。
「おはよう、ユラ-カグナ!」
せかせかと歩いて、執務机の前に立つと、ゆうべから今朝にかけてあれこれ書いた紙を、ユラ-カグナの前に置いた。
ユラ-カグナは遅れて挨拶を返して、その紙を手に取る。
ざっと見て、ルークの顔に目を上げた。
「ここから始めるのか?」
ルークはやや緊張しながら頷いた。
「うん。どうかな!?」
ユラ-カグナは自分の顎に手を当てて、しばらく考えていたようだったが、少しして、いいだろう、と言った。
「前に出した命令書に反しないし、やりたいことがはっきりしていていい。巡行をしている間に人員を配置しておくから、これ以外にもやりたいことがあれば知らせろ」
「うん!」
ルークは認めてもらえてほっとした。
その笑顔を前に、ユラ-カグナは続けた。
「ただし、これを実行するためにはもう一度命令が必要だ。先に出した命令書の内容も含んで、新たに命令書を作成しろ。シィンももう来ているはずだから、出発前に済ませておけ」
ルークは、表情を改めて、頷いた。
それから、渡した紙を受け取って、宰相執務室を出ると、彩石騎士居室へと向かう。
これでまた一歩、進む。
それは、期待と不安と高揚の入り混じる一歩だった。
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