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「無論だ。むしろ、王としてもてなさねばならん。どこに同行したい?」
アークは胸をどきどきさせながら考えた。
「どのような場所に行かれたいかしら!?」
その楽しみにしている様子に、ユラ-カグナは少し考えて言った。
「お前が行きたいと思っている場所にお連れしろ。それがどんな場所にも勝る」
「そう…なの?」
半信半疑なアークに、ユラ-カグナは頷いて見せた。
「造船所やリュウシ工業地区、養殖区域にはもちろん案内させるつもりだが、例えばボナ川小規模工場群はどうだ?」
アークは、ぴくり、と反応した。
「私、食器を買いに行きたいわ!」
ユラ-カグナは頷いて言った。
「食器はサラナザリエ様も使われるだろう。もちろんアルシュファイドからの土産として持ち帰っていただくが、選ぶのはご本人にしていただくといいだろう」
アークは両手を合わせて喜んだ。
「遊戯場にもお連れしたいわ!私、遊びを覚えたのよ!」
これにはユラ-カグナも少し考えたが、頷いた。
「いいだろう。この国の取り組みについて、見ていただきたい。何より今後も深く付き合う相手だからな、共に汗を流すのも互いを知れていい」
アークは大いに喜び、暦を見て、いつ行ったらいいかしら!?と言う。
「やはり休日がいいだろう。藁(こう)の日に遊んでいただき、円(えん)の日は休んでいただく。休むといっても城に閉じ込めるわけにはいかないから、サルーナ・リーにでも行っていただこう。お前も行くか?」
「行く!サリたちも連れて行っていい!?」
「いいだろう。ザクォーネの結界構築者はサリだ、サラナザリエ様も喜ばれるだろう」
ザクォーネ王国は、長いこと戦禍を被っており、これを避けるため、一国を丸ごと覆う絶縁結界を張ったのが、サリなのだ。
「やった!次の週の藁の日はどうしよう!?」
「それはまた話し合うといいだろう。取り敢えず、平日のサラナザリエ様のご予定は、会議と視察を交互に組んでいる。遠出をすれば、会議とはまた違う疲れ方をされるからな」
「はっ、そっ、そうよねっ、お体を気遣わなければ…ツェリンスィアの効果は外見だけ若返らせるのかしら?」
ツェリンスィアとは、塗布すれば万能薬、服用すれば若返ると言われる薬、また、それが採れる植物の名だ。
サラナザリエは、この薬を服用し、現在の見た目は10歳にも満たないという話だった。
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