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「ほんの手遊びですけどね。ああ、子供には手遊びとして定着させるのもいいかもしれませんね。流れるような、歌のような術語…誘導の言葉がいいかな。でも遊びでやると危険か…」
「そうだね…知れば試したくなる…でも、その言葉で完璧に操れるなら、やってみる価値はある。何かこう、小さな結果しか生み出さないものとかないかな」
「んー、あっ、伝達なんてどうです?」
「伝達?風?」
「土でですよ。地面に力を通して、離れたところで字を書くんです。これなら、日常で役に立つし、危険は…どうだろう。あるのかな…」
ルークが身を乗り出した。
「どうやるの!?」
「えっ?まず相手を探して、その足元に文字を書くだけですよ。段々距離を長くしていったら、訓練になるかも。それか、文字数を増やすとか?うーん、何が訓練になりそうかな?」
やっぱり距離は力量の問題だから無理だな、と言って、ルークを見る。
「修築が終わったら、試してみませんか。土の伝達は、失敗しても、地面が盛り上がるだけですから、目に見える分、安心です」
ルークは喜んで大きく頷いた。
「うん!」
「その間、試したい術語を作っておくといいかもしれません。まずは伝達の術語、その文書に載ってませんか?それを参考に、誘導の言葉や、術語を作るんです」
「探してみる!」
「俺も探しますよ。貸してください」
カィンが言い、ミナも手を上げた。
「あ、私も」
それから、3人で術語を探し、伝達の術語はないことを確かめた。
「えーっ…」
脱力するルークに少し笑って、ミナは言った。
「じゃあ、作るしかないですね。術語としては、風と同じでいいと思うんですよ。私は厳密に指定しないと、遠くは無理なんです。例えば、風よ運べ、その者の姓名、伝えよ、伝達の言葉、自分の名、言伝」
「それだと、土は…運べ、じゃあないよね…ちょっとそぐわない」
「通せ、というのはどうでしょう?地中を通すから」
「うん、じゃあ、土よ通せ、相手の姓名、伝えよ、伝達の」
「あっ、待ってください。風は耳で聞くから伝えるってしちゃいましたけど、土は目で見るから、現せ、がよいように思います」
ルークは頷いた。
確かに、同じ伝えるものだけれど、耳で聞くのと目で見るのとでは伝わり方が違う。
「現せ、伝達の言葉、自分の名、言伝…というのもちょっと違うか」
「そうですね。文字…うーん、知らせ、とか」
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