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何が俺は別れたくないよ……。
なら、別れなきゃ良いじゃない。
ぎしっとベッドが軋み彼が立ち上がったのが分かった。部屋のドアを開ける音が聞こえる。
出ていったら……もう終わりなの?
話もしないで自然消滅?
さっきの私が発した言葉だけで全てが終わっちゃうの?
玄関を出たら、佐々さんの元に行ってしまうの?
「バカっ」
「いって!」
彼の背中目掛けて思いっきり投げた枕が当たった。
「バカっ別れたいのは田野倉さんの方じゃない!何が俺は別れたくないよっ。だったらもっと優しくしてよ。不安になるじゃないっ。大好きなのにっ。こんなに好きなのに……バカぁっ」
幼い子どものように声を出して泣いたのはいつ以来だろう。
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