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「俺と……結婚してくれるか?」
「……うそ……ほんとに?本当に……私と?」
恐る恐る聞く声が微かに震えていた。
「お前以外いるかよ。アホっ。……あぁあ……俺、もっとちゃんとしたとこでプロポーズしたかったんだけどな。ほらこんなに泣き張らした顔で、寝てたからヨレヨレの部屋着だし。しかも寝相悪くってしわしわのシーツの上でって……え?麻里」
今漸く泣き止んだ私が、大粒の涙を溢しながら再び声を挙げて泣き出すと、隣で田野倉さんが動揺した声で私の名を呼ぶ。
「もう……別れちゃうんだと思ってた。田野倉さんは私を捨てて、佐々さんと付き合うんだとばかり……」
「は?何だよそれ。お前を捨てるって。俺そんな酷いことするか?」
戦慄く私の唇が、中々言葉を発することが出来ないでいた。
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