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ソフィン、シェリー、魔道士のグレイがテントの中で眠りにつく中、レガンは一人、外で剣のすぶりをしていた。
なんだ、意外と真面目なやつじゃないか。問題はなさそうか?
と、思っているとレガンは突然にすぶりをやめた。そして、辺りを見回し、ゆっくりと私の反対側の茂みへと足を踏み入れた。
きた、これは大イベントがあるに違いない!
私は月の光がレガンのキラキラな鎧を照らしてくれることに感謝をしながら、光が小さくなるとゆっくり茂みを抜け出し、後を追う。
茂みの中を歩いていくと立ち止まっているレガンの姿が見えた。私は慌てて近場の茂みに潜む。
少し経つと、レガンの目の前に女が降ってきた。文字通り、上からゆっくり降ってきた。
アッこれ絶対やばいやつ。
降ってきた女の容姿を端的に言うと悪である。端的すぎるだろうと思うだろうが悪である。
いかにも女性の悪役な感じの、ちょっと露出度の高い服を纏い、その服の色と言ったらエナメル質なのな分からないがてかった黒や紫。露出されている血色の悪い肌。スタイル抜群。その手先の爪は異常に伸びていて、黒いマニキュアが塗られている。濃いすぎる赤の口紅に釣りがった瞳。あ~悪役。こんなやつが味方とか絶対思わないよね。
「レガン」
女はレガンの名を呼んだ。そして、ゆっくりレガンを抱きしめる。あっ今一瞬羨ましいとか思ったわけじゃないから。
「……リューシャさん」
どうやら女の名はリューシャだという。そして二人は、密接な関係を持っているようだ。いや、表情から見るにどちらも相手のことを想っているようで想っていない、どこか二人の関係の中は何もないように感じる。
「ねえ、どんな感じ? カナリアは今、私の元で嘆いているわ。ソフィン、ソフィンって」
「……やはりソフィンなんですね」
カナリアと言ったら、姫のことだ。はーん、なるほど。この女が姫を攫ったのか、そして私と同じようにレガンはどこかでスタンばっていて、仲間になったというわけか。
「……ソフィンを殺せば、カナリアは本当に俺の方を向いてくれるんでしょうか」
女に釣られたな、この男。
「ええ、もちろん。あなたがあの男さえを殺ってくれれば……あなたの幸せを保証するわ」
絶対怪しいと思えよ、そんな容姿で幸せとかもう、ないだろ。不幸しか呼びそうにないだろその女。
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