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「フフン、よく分かっているじゃない」
思わず口に出してしまう。フフン、よくやったぞ、私。
「ところで…私に何用で」
レガンは予想以上にびくついている。ウム、どうやら私のさりげない思惑は見事上手くいったようだ。
そう、まずはリューシャの仲間と思わせること、これが第一目標にしてレガンによるソフィン暗殺計画阻止のアンダーラインである。まあここはクリアしなくてはならないのだが、それと同時に、私は密かに威厳を漂わせていた。つもりなんだけどね。
理由は簡単、リューシャと私の立場を明確に示すため。私の方が、リューシャより強いという確信をレガンに示すためである。まぁもし戦うことになっても、絶対私が勝つから問題は無いのだが。
私は思う。私ってやっぱり勇者様のお仲間に! なんてことを生き甲斐にすべきものだとつくづく思う。楽しみを楽しむための能力みたいなもんだろ。戦いにおいては負けることは早々ないし、何よりも存在そのものを一から変えられる。うん、私最強。
さて、自惚れたいムは後にして、とりあえず探りを入れる。
「アナタ、リューシャに色々言われているみたいだけど。勇者を殺す……とかかしら」
「ええ。それについては、恐らくあなた方にとっては得でしょう?」
フン、なるほど。この言いよう。やはりリューシャは魔王側だな。
「まぁ……そうね…」
得などではない! 損しかないわ! なんて言ってしまうのはまずいので。本音を隠すって難しい。
「それで…一体どうしたと」レガンがしつこく様子を伺ってくる。何こいつ、おもしろ~。典型的に上に気に入られてい下みたいな感じ、いとをかし。味わいある。
「ふぅン、これといってっていうのはないけれど…」
一か八か。
「リューシャの言うこと、あまり、アテにしないほうが身のためよ」
「そうなのですか? でも、リューシャさんは確か魔王三幹部の一人と仰っていますが……」
マジかオイ。
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