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「そんな……でもリューシャさんはそんなこと……」
「アナタより長くアイツを見てる。そんな私が嘘つくと思うワケ? まあいいわよ。私が嘘吐きというならいいわ。嘘吐きのヤオと呼んだって構わない」
事実私は嘘吐きでーす。なんてね。
「……俺はどうかしていた…」
おっ。
「そうだよな、冷静に考えて、敵の幹部など、俺のために動くはずない……」
レガンが私の方を見る。「けれど、あなたはどうして。あなたも、俺を騙そうと?」
おっとぉ、まっず。まずいぜベイべー。ウーン。困ったな。
「………私は嫌なのよ。リューシャに騙される哀れな人間を見ることが」
っぽいこと言ってみた。
「そ、そうですか……」
アーッ、反応が薄いっ。流石にできすぎちゃうか、流石にこれはいけまへんかぁーっ。
「……魔王にも、優しい者は、いるのですね」
あっ、心打たれた。こいつ弱い、なんか、弱いわぁ。
「…べ、別に優しいわけじゃないわ」
ほらもう何かツンデレ臭くなるじゃん、やめてよね~。
「……ありがとうございます。ヤオさん」
「ええいいのよ。事実、魔王様も手を焼いているのよ。人をする騙してまで人を殺めることはないって」
ごめん魔王になんか仏設定つけちゃった。
「それで、アナタに相談があるのだけれど……」
後はリューシャを倒してくれればいいんだ。
私はそっと、リューシャを倒してほしいと言う。レガンは驚いて、困ったような顔を見せた。
「何故、あなたがそこまでして」
「言った通りよ。もう、騙される人は見たくない」
今見てるけどさ。
「……わかり、ました」
軽いな。軽いなこの男。姫、ソフィンを好きになって正解だよ。男を見る目があるね、私安心したよ。すっごくすっごく安心したぞ。
「アナタが手をかけることはしないんですね」レガンが嫌味ったらしく吐いた。
「格好つけたいでしょう」
私は返す。レガンはなぜ知っている、というふうな表情を見せる。
フフン、丸分かりなんだよ。貴様の態度は明らかに勇者に対して嫉妬してるんだよ! 姫の意中の相手にな!「私だもの」
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