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まあ予想は的中しており、ムウワパンチ一発でマジ魔人グラキオスを倒すことが出来た。「き、貴様まさか……」と何か言いかけていたが意識が遠のいていったのかバタりと気絶していた。
私は三幹部様くらいしか許可無しには通ってはいけないという扉に手をかける。うん、ほんとにダメなんだった指紋認証とかつければいいのにね、あ、近代すぎてダメか。
意外とその扉は重くて開けるのに苦労しつつも扉を開けた。その先は壁と扉に囲まれた通路がただただ延々と続くだけだった。扉からなんかいろいろ出てきそうだなーとか思いつつも知らんぷりで前に進もうとする。思いとどまった。待って、別に魔王に会いに来たわけじゃないよね、私って姫を探しに来たんだよね。あっぶねー。
私は慌てて扉を閉める。閉めてすぐそばに倒れているグラキオスをつつく。しかし反応が薄いため、とりあえず起きるのを待つことにした。
「う、うーん」とほんとに目覚めるんだなーというふうな声を上げてグラキオスは目を覚ます。そして私を確認すると、ヒッ、と声を上げて飛び起きた。リューシャかお前は。
「ヒイィィき、貴様何かよよっ用か…?」
「そんなにビビらないで頂きたい」
私は込み上げてくる笑いを抑えることに必死になりながらグラキオスに問う。「この城に姫はいないか」
「姫……? リューシャ姫のことですか?」
あいつ姫なの?
「いや…リューシャ姫ではなく…」
「リューシャ姫ではないのなら姫はもういませんが…」
凄いなあいつ。なんなの、あいつなんなの、魔王の娘みたいな? 娘ポジで姫ポジ? んで三幹部? エリートだなぁ。
「いや……じゃあカナリアという女は?」
「カナリア? ―――ああ」グラキオスに心当たりがあるようだ。
「そういえば少し前、それこそリューシャ姫が人間の女を捕まえたとか言っていましたが……」
「そいつだ!」
私が思わず声を上げるとヒイィー! と声を上げてグラキオスは怯える。そんなに怯えなくても……なんか悲しくなっちゃうよ。
「それは確か…魔王に気に入られ魔王によって保護されているとか聞きましたが……」
「わかった」
私は即座に扉を再び開ける。「あっちょっと許可無しには……」
「うるせぇやい」
「ヒイィーン!」
私はなんか後ろでブツブツ言っている魔人を放ったらかしにしてずんずんと通路を進むことにした。
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