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ミストレアムスが立ち上がる。「じゃね」
そう言って扉を開ける。あー、またあの延々ループか。ハァ。まあ、息抜きもできたしいいか。意外と優しいね、魔王。
「じゃあまた、会えたらいいな」
私はそう言って、潔く出ていった。
少し期待したけどまあそんな期待すぐ折れます。はい、やっぱりあの光景が。いやほんと飽きちゃうよね。うんうん。早送りしようか、なんか大イベント来るまで色々省いちゃおっか。
「あれっ」
また開けまくっていると、再び子供の声。あれっ、またミストレアムスか? にしては先程よりいくらか成長したような声だなあ……え、まさか。
くるりと後ろを振り返るとそこには見覚えのあるけど初めての少女。「ムウワ!」
「ミ、ミストレアムスッ!?」
先程までのミストレアムスから少し成長していて、まあ5歳児くらいから15歳くらいになっているのか? まあ要するに中ロリっ子ミストレアムスがそこにいた。なんだ、中ロリって。
「あはは、ほんとにムウワだ! 久しぶりだねっ!」
「いや……えっと…」私はさっきぶりです。というか成長早いな、早くね? いやクソ早いわぁ。
「まあまあ、入って入って」
ミストレアムスは先程と同じように部屋へと勧める。あ、まだ年頃とかじゃない? まだ大丈夫?
私は恐る恐る入る。先程の部屋のように可愛く装飾されているのだがいくらか落ち着きが見えた。
「はいっ、また食べよ。あ、ムウワって、食べるの下手くそだったよね」
再びあのバスケットが出てきた。わぁ、やっぱり中身ないのね。
「いただきます」今度はなんとなくそう言ってバスケットに手を伸ばす。そして再びすくい取るような仕草をした。……うん、クッキーの欠片もない。
「あはははっ、ほんと、下手くそね!」
ミストレアムスは笑いながらバスケットに手を入れて、やはりすくい取る。やはりその手の中にはクッキーが、豪華に、美味しそうになっていた。思わずごくりと飲み込んでしまう。
「はいっ」ミストレアムスはまたもや私にそれをくれる。「ミストレアムスは食べなくていいのか?」
「あたしは上手だからいつでも食べれるもの」
再びあの可愛らしい笑顔。練習します?
そしてその後は、先程の小ロリミストレアムスと同じように別れを告げて、再びあの光景を前にした。
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