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私が作り出したケーキと、その周りを囲むマカロンを二人で仲良く食べる。「うん、美味しい」
しかしこの会う度に成長していくシステムはなんなのだろう。まさかおばあちゃんミストレアムスになるまでこのループは永遠なのだろうか? そう思うとなんか、どこか嫌に感じる。ミストレアムス、永遠に可愛くあれ。
「もうムウワとお別れね」
「え?」
ミストレアムスはどこか寂しげな瞳を光らせている。どういうこと?
「今ムウワはこの部屋を抜けられる条件を達したの。あーあ、私、役立たずになっちゃったよ。どうしよう」
「……」なんか、スミマセン。
ミストレアムスがケーキを食べ終えた。私はちょっと前に食べ終えていた。
「じゃあ、あの扉から出て。そしたらあなたは進める」
「うん……」よくわかんねぇ。
詳しいことは魔王にでも聞いてみようか。あっ、会う前提になっちゃった。
「じゃあね、ムウワ」
ミストレアムスは笑顔で手を振ってくれた。私は手を振り返す。「また会えるといいな」
「もう、会えないよ。ここは一度しか通れないから」
えっ。
「……それは、ムウワが、だろう?」
「うん……え、なに? まさか、生まれ変わりとか信じちゃう?」
「……フフン」
私はそんな意味深な笑いを残し、ドアを開けて先に進む。
「あっ、えっ? ミストレアムスの部屋を抜けてきちゃったか。あ、嘘、ちょっ、まだスタンバイしてないし……ええー、ミィちゃん来るなら言ってよぉ?」
ドアの先にはいかにも魔王の座る椅子があり、そこには真っ黒なマントに身を包んだ鬼面のような顔をした者が、重い声で軽い調子で言っていた。
「あっ、えっあー、ちょっと待ってて、あーできれば目を覆っててくんない? んで目瞑ってて、うん、3分程度待っててね」
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