キース・ヴァレンタイン

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 村人達の興奮を抑えることにどうにか成功し、私はようやく話を聞いてもらえることになった。 「あの、私は騎士を一人探していまして」 「騎士様? はてはて、国の騎士ですか?」 「ええ、まあ国の方ですが」 「そんな者、探さなくて良いのです、ハーピィ様」 「は?」  いや探さなきゃだし。 「そうだそうだ!」  ところが連中の前だとそうはいかない模様。 「国のやつなんてどいつもこいつも最低な非道なんだ!」 「国のやつにいいやつなんていないぜ!」 「そうだそうだ!」  なるほど。まあ確かに国のやつらにいいイメージがないのは村人あるあるだな。実際性根が腐ってるやつとかなかなか多いし。じゃあつまり勇者も、というわけか。貴様ら許さんぞオイ。 「ち、違うのです。その方は確かに国の方ですが英雄……国の方の中にだって素敵な方はいるのです!」 「いいやこれっぽっちもいねぇ!」 「微塵切りをまた微塵切りしてその微塵切りをさらに微塵切りにしてまた微塵切りにしてそれもを微塵切りにした微塵の一つ程度ならいるかもしれねぇけど!」  意味わかんねぇし。 「だからいかん! いけませんハーピィ様、キース・ヴァレンタイン様!」  あーよかった、名前なんてつける意味なかったかと思ったよ、ずっとハーピィ様とか呼んでるから。はぁーよかった。名前あってよかったわー。 「けれども…、私は探さなくてはならないの」 「いけません!」  いつから貴様らの言うことを聞く立場になったのかね私はァ! と言ってやりたいものだが清楚なハーピィ設定を植え付けてしまったためそれを覆そうとは思わない。というか、なんか気まずくなりそうだから嫌なんだよな。 「……やつらは、やつらは悪魔です」  村人の一人がしんみりムードで話し始める。 「村長という立場のおじい様を洗脳し、重税、強制労働を課してくるのです」  聞くしかねぇじゃん? コレ。
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