436人が本棚に入れています
本棚に追加
「やめてくださいレガンさん!」
ソフィンが言った。同時に、レガンの勢いは0になる。
「きっとその方は旅のものでしょう。傷つけてはいけない」
「しかしソフィン…」
「いいのです。僕がいいと言ったから」
「……」レガンは剣をしまう。
「道中、共に気をつけよう。悪いが僕は、貴方とともに行くことはできない」
ソフィンは私にそう言った。
クウゥーッ! たまらん! 素晴らしい! この勇者の気遣い! 丁重な断り方! 毎度毎度お馴染みだがいつされても至福の時この上ない! 最高だ!
私はわざと項垂れている様子を醸し出し、勇者一行が去るのを見送った。
と、その時。私はレガンの目を見てしまう。
その目は明らかに何かの恨みを持っていて、その目と目先の相手までも私は見てしまった。
や、やばぁ~い。
この後はフェルナイン・アルカード、この格好から別の格好へと変装し、再び勇者の後をさっさかと追って目的地が分かり次第そこへ先回りし、勇者一行が来るのをスタンバる予定だったのだが、少し予定変更だ。
このまま勇者一行を追尾する。
何故かって、なんか、あのレガンの目がかなりやばかった。敵っていう感じではないのだが、普通にやばい。嫉妬の目が、ソフィンに向けられていた。
シェリーは当然気づいていないし、ソフィンなんて恐らくただ目付きが悪いなぁ程度にしか思っていないだろう。まずい、非常にまずい。下手したらソフィンが殺られる可能性がある。冗談抜きで、あの目は殺る目だ。
その目の理由を突き止め、なんとしても私は止めなければならない。
さぁ、勇者一行追尾開始だ。
最初のコメントを投稿しよう!