第1話・願掛けの豚カツ

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「これじゃ立派なホームレスだよな」 俺は、山下(やました)恭平(きょうへい)。 ある理由から、今は仕事をしていない。 手持ちの僅かな金と、ヒッチハイクをしながら旅をしている。 ある店を探して。 此処に来るまでは、親切な人が風呂に入れて泊まらせてくれたり、公園の水道で頭を洗ったりしてきたが、服は変えられず薄汚れて、ホームレス感が増している。 「やっぱ、ただの都市伝説なのか?」 知り合いに聞いた噂話。 この日本の何処かに、亡くなった人に会えるレストランがあるらしい。 星空レストランと、世間の人たちは呼んでいる。 何県にあるのか、ハッキリしたことはわかっていない。 と言うのも、実際に行ったと言う人達の話す場所がバラバラなのだ。 まぁ。本当に行ったのかも定かではないが。 UFOに乗ったとか、宇宙人に誘拐されたとかそう言う胡散臭いとも取れる類いの話でしかないのだ。 実際テレビでだって、そう言う特集に組み込まれて放送されるくらいのものだった。 「・・・俺も、ネッシー探してる人達と変わんないんだろうな」 思わず笑ってしまいそうだ。 旅をはじめて2週間以上。 宛もなく野宿しながら探して旅しているのだから。 群馬・長野・石川とまわったが未だ何一つ手懸かりも掴めていない。 ちなみにそれらの行った県は、ヒッチハイクで乗せてくれた人達の都合で行き着いた場所だ。 別に、何か考えがあって行った訳じゃない。 だが、ただひとつ、皆が共通している情報がある。 夜になると突然、遊園地が目の前に現れる。 その観覧車に乗って頂上に着いたとき、星空レストランへの階段が現れる。 そう言うものだった。
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