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「はぁ。取り敢えずこの辺で休むか」
時計を見ると21時をまわっている。
ここは福井県。海の見える町だ。
時間のせいもあるが、人通りが殆ど無い小さな公園を見つけたので、ベンチで横になることにした。
今夜は快晴だ。
昨夜は曇り空で月も見えなかったが、今日は満天の星とはこの事かと言うくらいに出ている。
ここまでして、俺が会いたいのは高校の同級生。
一緒にバスケ部として青春の汗を流していた、植田雄一。
バスケの強い同じ大学に行きたくて、勉強もお互い頑張っていた。
受験の前日。俺と雄一は願掛けを兼ねて、いつも部活帰りに食べていた近所の定食屋の豚カツを食べた。
『明日、頑張ろうな!』
雄一は豚カツを頬張りながら、そう意気込んでいた。
俺はそんな雄一を見て笑いながら『当たり前だろ!大学でもバスケやる為なんだからな』と言った。
その帰り道、駅での別れ際に雄一は俺に言った。
『俺、お前とこれからもバスケやれるって思うとスゲー楽しみ!じゃあなっ』
そう言いながらニカッとした笑顔を見せた。
それが、雄一との最後の時間だった。
雄一はその後少し寄り道をしていたらしく、帰宅途中の19時頃、飛び出してきた1台のバイクに跳ねられて死んだ。
跳ねたバイクの人間は重症だが一命をとりとめ、雄一だけが命を落としたのだ。
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