第1話・願掛けの豚カツ

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「・・・腹減ったなぁ」 此処にくるまでコンビニを見かけなかったので、食料が無い。 まぁ、見落としただけかもしれないが。 雄一と願掛けに食べた豚カツをが脳裏に浮かぶ。 その定食屋は、部活の先輩に教えてもらった店で、いつも部活帰りには雄一と豚カツを食べに行っていた。 人当たりの良いおじさんが一人でやっている小さな店だった。 山盛りのキャベツの千切りに乗った、でかい豚カツと、大盛りのご飯。豆腐とワカメの味噌汁が、今でも忘れられない。 何よりも、雄一の豚カツを頬張る姿が頭から離れなくて辛い。 だが、それこそが俺をここまで動かす原動力にもなっているのは確かだった。
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