藍温酒家

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 藍善と同じ青い髪に、藍色の瞳をした体格のいい男の人だった。ただ、その表情はとても豊かで、かつ豪胆そうだった。  その人は私を見て、その後で私の後ろにいる藍善を見て目を丸くした。 「藍善、よくきた! まずは入れ」 「あ、いや…」 「入れ」 「…はい」  有無を言わせない感じで男の人は藍善の腕を掴み店の中に入っていく。私もそれに遅れないように、店の中に入った。  店の中は沢山の人がいたが、藍善が連れていかれたのは…まさかの厨房の中だった。そこにある席に肩を掴まれて座らせられ、鋭さのある目で男の人は藍善を見た。 「ここに来たって事は、分かってるな?」 「…はい」 「残すと怖いぞ」  脅すようなその言葉に、藍善は完全に顔色を失くしてしまう。  一連の流れを見ていた私は、突然のことに驚いたまま立ち尽くしていた。そんな私に、男の人は柔らかい瞳を向けて笑った。 「突然ですまなかったね、龍姫様。ただ、こいつは早めに確保しないと逃げるから急がせてしまった。名乗るのが遅れたが、俺がこの店の店主で藍温(らんおん)だ。君の話は緑伸から聞いている」 「あっ、初めまして。春華と申します」  勢いに押されてペコリと頭を下げる。すると藍温さんは腰に手を当ててニッコリ笑った。 「旨い物食べさせてあげるよ。そこに座っていてくれ。何か、飲むかい?」     
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