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 李燕と最初に訪れたのは茶器のお店だった。店内の棚には所狭しと様々な色や柄の茶器が置いてある。それを眺めながら、私は李燕を見た。 「ここで何を見るの?」 「実は先日、使っていた杯をうっかり割ってしまって」  恥ずかしそうに笑う李燕は、言いながらも少し楽しそうだ。  それにしても、李燕がうっかりなんて珍しい。大丈夫かな? 「疲れてたりしない? 李燕がうっかりなんて、珍しいし」 「それは大丈夫ですわ。うっかりというのも、本当に手が滑ってしまって。長年使っていたので、そろそろ新しい物に替える時期だったのかもしれませんわ」  細く綺麗な指が、楽しそうに茶器を選ぶ。  手にしたのは白地に鮮やかな緑と桃の柄が描かれたもの。指先で触れて、確かめて、なんだかとても楽しそうだ。 「それ、綺麗だね」 「えぇ。桃は吉兆の柄ですから、人気が高いのですよ。それにこの色も綺麗です」 「うん、わかる。それにするの?」 「…もう少し、見ても構いませんか?」 「勿論!」  なんだかこんな会話も久しぶり。私までワクワクした気分で答えると、李燕はとても嬉しそうな顔で笑った。     
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