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私に気付かれたのが意外だったのか、驚いたような目がこちらを見る。その後は、少し恥ずかしそうだ。
「うーん…」
腕を組んで考えた私は、次には「よし」と手を打った。そして店の中へと入り、置いてあった根付を三つ手に取った。透明な水晶の兎と、緑色の鳥、そして水色の馬だ。
それらを持ってレジへと持っていく最中、私はもう一つ気になるものを見つけた。けれど、それをどうするか考えて、結局はスルーしてしまった。
お金を払って表へ戻ってくると、二人は驚いたような、それでいてちょっと咎める様な顔をしている。私だってそれなりには大人なんだから、買い物くらいできるのに。
「買ったのですか?」
「うん。はい、李燕」
緑色の鳥の根付を差し出すと、李燕は驚いた顔をしていた。私はかまわず、その帯に紐を括りつける。光沢の少ない深い緑色の鳥が、ユラユラと揺れていた。
「うん、これなら子供っぽくないよ」
「あの、ですが!」
「李燕にはいつもお世話になってるもの。お礼させて」
にっこり言うと驚きながらも、李燕は嬉しそうに笑ってくれた。
「そんでもって、こっちは藍善ね」
「俺?」
目を丸くした藍善に、水色の馬の根付を渡す。
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