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 なんだかとても呆然としているから、私は押し付けるようにその手に握らせた。流石に帯につけるというのは、照れくさいから。 「なんか、見てると藍善の事思い出して。馬、好きだしいいかな? って」  多分これを見ている時の反応からして、嫌いじゃないと思う。根付は男の人も小物につけるみたいだし、オシャレアイテムだと思うんだけど。  握らせたそれをマジマジと見る藍善の姿を見ていると、ちょっと不安になってくる。私はドキドキして、そっと問い返した。 「あの、迷惑だった?」 「あぁ、いや! 驚いてしまって…」  パッと顔を上げた藍善は少し恥ずかしそうに笑い、次には綻ぶような笑みを浮かべてくれた。 「有難う、春華殿」  早速それを財布の紐に結び付け、藍善は嬉しそうにしてくれる。ちょっと押し付けてしまった感じがあったから心配したけれど、その表情を見るとやっぱり嬉しかった。 「藍善様!」  藍善の背後で声がかかり、同じ青い軍部の服を着た人がこちらへ近づいてくる。それに振り向いた藍善は、厳しい仕事の顔に戻っていた。 「どうした」 「そろそろ午後の修練の時間ですので、呼びにまいりました」 「そうか」  くるりと私達へと振り向いた藍善は、僅かに表情を緩める。そして、軽く頭を下げた。 「では、戻る。春華殿、この礼は近々させてもらいたい」 「そんな、礼なんて」     
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