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そして約束の日、私は待っていた藍善を見てドキドキした。
青と白を基調にした私服は、見慣れていない分キラキラが二割増しだ。普段軍の服しか見ていないから余計だろうか。
深い青地の服に白い染で龍が描かれた服は、長身で体格のいい彼にとても似合っている。
「おはよう、春華殿」
「おはよう。なんか、素敵だね」
私が言うと、藍善は少し恥ずかしそうな顔をした。
「似合わないだろうか?」
「まさか! 凄くかっこいい。っていうか…ちょっとドキドキしてるかも」
なんて言うか、目のやり場に困る。この人とこれから出かける図を考えると、女性の視線が凄そうな気がする。
藍善は困ったように笑い、自分の姿を見下ろしていた。
「出かけるのだから、それなりの服装をと思ったのだが…俺はあまり拘りがなくて、どうしたらいいかと苦慮してしまった。おかしなところがあれば、教えてもらいたい」
「素敵だよ、藍善。いつもとてもカッコいいと思ってるけれど、今日はそれに磨きがかかってるっていうか」
本当に、理想の騎士様みたいですよ。
苦笑した藍善はそれでも、私に手を差し伸べて連れ出してくれた。
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