29(承前)

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 明るい茶色の髪をかきあげて、ジョージが笑った。 「勝てたらおもしろいなと思ったよ。タツオの1軍と違って、ぼくの指揮する4軍は各チームからの寄せ集めだ。誰も期待してなどいない。だから逆に奇手が可能だった。失敗しても責めるやつなんていないから」  ジョージが上品に肩をすくめた。こんなジェスチャーをすると、やはりエウロペの血を感じない訳にはいかない。 「進駐軍の作戦会議でも、きっとタツオの持久戦法が支持されたと思う。あの状況では最もオーソドックスな戦いかただったから」  ジョージが裏表なくそういってくれているのはよくわかった。だがタツオの胸は晴れない。 「だけどジョージは勝ち、ぼくは敗れた」
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