29(承前)

12/12
前へ
/12ページ
次へ
 そのカザンはもう生きてはいない。自分たちも半年後には本土防衛の決戦に駆りだされるのだ。タツオはいった。 「ジョージ、頼むからぼくが戦うときは、そばにいてぼくを助けてくれ。きみがいなければうちのチームは戦力半減だ」  今度はマルミが手を振ってきた。タツオも振り返す。ジョージが目配せをしていう。 「あんなに優秀なメンバーが揃っていても?」  タツオも笑った。 「ああ、そうだよ。ぼくの副官はジョージしかいない。まあ、ぼくがジョージの副官でもぜんぜんかまわないけど」  こんなとき大人は酒が飲めてうらやましいとタツオは思った。ジョージの勝利を祝って、飛び切りの酒で乾杯したい気分だったのだ。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加