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マルミが目を丸くしていう。
「ジャクヤくん、人を犬に変える術なんかあるんだ」
ふふと笑ってジャクヤは横目でテルを見た。
「犬かどうかはわからへんけど、人を人でないものに変える禁術はあるなあ。ぼくかてまだ使ったことはないけど」
しれっと恐ろしいことをいう少年だった。ジャクヤは天童家の選抜試験でたくさんの同世代の子どもたちを殺している。すべて同じ天童の血でつながった親戚の子どもたちだ。マルミがテルを見ていった。
「テルくんなら、犬になったらきっとかわいいと思うな」
「よせよ」
テルは恥ずかげにそっぽを向いて、おおきなステーキの切れ端を口のなかに押しこんだ。夕食はにぎやかに過ぎていったが、タツオだけは心から楽しめなかった。自分でも驚いたことに、案外なほど負けず嫌いなのかもしれない。
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