あの店からの、リスタート

「あー、あった！これこれ～」

高校２年生のななこは、目の前の小瓶を手に取った。

ここは大型ショッピングモールの片隅にある、小さなアロマテラピーショップ。

最近のななこはアロマテラピーにハマっていて、この店がお気に入りだ。

「……でも高価だから、香りを楽しむだけ、ね」

店員に聞こえないよう、小声でつぶやく。

アロマテラピーの精油は、一般的には高価だ。

高校生のお小遣い程度では、ホイホイ買えるものではない。

ななこも例にもれず、精油は２本しか持っていない。