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王妃さまと呼ばれた高齢の女性は、その日から床に臥せることとなった。
痛みに耐え、苦痛に顔を歪めている。
「王妃さま、起きる事も出来ないなんて……」
侍女たちは悲しんだ。
国政は滞り、騒ぎは大きくなっていった。
騒動を聞きつけた、ある修道院の僧が王妃の城を訪ねてきた。
「私は、僧院医学の知識があり、薬草を扱っております。私が調合したこの痛み止め薬を、王妃さまに……」
その数日後、王妃は、煌びやかなドレスに皮手袋のいでたちで、再び国政を取り仕切っていた。
あの頃の疲れた表情ではなく、覇気のある、君主と言うにふさわしい風貌を取り戻している。
美しい、若き日の王妃に戻ったよう……
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