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 まるで絵本や魔法のようなそのうわさは、実際そうであった。本当に飛び出してきているのだ。絵の中の人物が。  キャンパスから飛び出た彼女は軽やかに両足を床に着地させ、ひらりと白いワンピースとその長い髪の毛をなびかせた。目の前に立つ、自分の存在意義を持つシアンに向けてにっこりと微笑む。 「マゼン……ダ……」  シアンはつぶやいた。  愛しい女性の名前を。たった一人愛おしい、妹の名前を。
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