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ナイトにエリアスとライト、そして自身も休むように命令を出し、スヴェンと病棟へと急ぐ。
いつもなら貴族達を避けたいのに、何故か自然と早足になる。なぜだろう、、、
スヴェンと無言のまま病棟の治療室に急ぐ。
閉まった扉の部屋の前では先程会った貴族たちがしゃべっているのが見えた。
スヴェン様が〜とか引退した元バイルシュミット卿が〜とか聞こえる。
もうバイルシュミット卿が死んだ時の話してるの?
「今、ここで何を話しても時間の無駄では?」
少しムッとした言い方でスヴェンがあーやこーや言っている貴族連中に声かけた。
「陛下、スヴェン様、」
「こんなに大勢集まられて部屋の外で相談されては兄上も安心して治療を受けられませんよ、」
スヴェンの言うことに心の中で激しく同意しながら一方私はどういう顔をしたら良いかすらわからず、ただ呆然と扉を見ていた、、、誰かと目を合わせてしまうと、カッとなってしまいそうだ、、、だから代わりにスヴェンが喋ってくれて良かったのだ、、、けれど、ふと顔を正面に戻した所でキーン卿と目が合ってしまった。よりによってキーン卿。卿はこちらを睨んでいた。すごい目ヂカラだ。
こちらも睨み返す。
長い沈黙が流れる。
「なんだその態度は」
ふいにキーン卿が口を開いた。
「は?」
私がそう返したとたん、卿のこめかみに血管が浮き出た。完全にブチギレてる。
「は?じゃないだろ、」
「じゃあなんですか?この件を私のせいだとお思いですか?油断したのはバイルシュミット卿です。バイルシュミット卿自身はいつでも命を狙われる立場だとわかっているはずですし、そもそも近くにいたあなた方も何もできなかったんでしょう?近くにいたのに。」
バイルシュミット卿が刺されて腹立たしいのはこちらも同じだ。
「ほう?」
「私にまったく責任がないことではないと思いますが、私だけにいつもつっかかるのはおかしくないですか?」
普段思っていることがつい、口に出てしまう。
このタイミングじゃなくても良かったな、と頭のどこかではわかっているのに何故かたまにこうやってつい口に出してしまうんだよね、、、
「陛下が管轄される領地で起こったことだぞ!お前が責任を持って〜〜!」
大声を出しながら今にも掴みかかって来そうな勢いで体を前に出すキーン卿に対して何人かがそれを止めようと宥めに入る。
「大声を出さないで下さい。そんな叫ばれても何言ってるか分からないし、」
「お前が〜〜!!!」
ほんと、何言ってるかわからない。
「出て行ってよ。わーわー文句言うだけなら、城から出て行って」
そう言えば他の貴族たちの顔もサーと青くなるのがわかった。
「貴様!調子に乗るのも大概にしろ!!」
「調子に乗っているのはどっちですか。」
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