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血の気のない、蒼白い顔のダレンは担架に載せられて衛生兵によって運ばれていく。
その後ろを駆け足でバストリーニ卿とヒューイさんがついていく。
「少し休め。」
スヴェンがそう言った。
「いや、いいよ。ここでナイトを待つ。」
休める気がしない。
スヴェン的には私が休んだ方が邪魔がいなくていいのかもしれないけど。
「ねぇ、ナイトはいいとして、フリーの裁判はやり直しだよね?」
「もう一度やってもいいが、処刑しないのであれば結果を告知するだけでいいと思う。」
と、思う。
スヴェンにしては曖昧な返答だ。
いつも語尾は「だろう」とか「だ」なのに。
やっぱり冷静に見えてるけどスヴェンもお兄さんを刺されて気が気じゃないのだろう。
「わかった。じゃ、それで。で、バイルシュミット卿をその、、、アイツは?」
バイルシュミットを刺した、と直接的な表現をしたくなくて、思わず言葉を濁した。
私はまだこの現実を認めたくないのかもしれない。
「お前はどうしたい。」
「死刑かな。」
馬車から降りたエリアスがこちらに歩いてくるのが見える。
「本気か?」
スヴェンの視線を横から感じる。
「一時的な感情でその判断をしたのであれば後で後悔するのはお前だ。」
そんなつもりはなかったけど、、、
「・・・そうかも。」
冷静になりきれていないのは私もそうなのかもしれない。
あ、きっとそうだ。刺した男の話をとりあえず聞いてみないといけないような気もしてきた、、、。
「スヴェン、前言撤回。考えてみるよ。」
スヴェンの方を見るとスヴェンは頷いた。
「ああ。」
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