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「ナイト、休まなくても大丈夫?」
「はい、数日たっぷり休ませて頂きましたから」
皮肉かな?
「だろうな。」
スヴェンが言った。
冗談なのか何なのかもはやわからない。
それより、今は目の前のことだ。
捕まえた男は抵抗する気もなくして牢の真ん中に座っている。
城の牢屋はバイルシュミット家ものとは違い半地下牢のため、鉄格子のはめられた外からは光が入ってきていて牢屋の一部を照らしている。太陽の角度からお昼頃なんだろう、ということが推測できるが、お腹はまったく空いていない。
「あの、バイルシュミット卿を狙った理由を教えて下さい。」
しゃがんで男と目線を合わせる。
男はチラリとこちらを見たがすぐに目を反らしてしまった。
「・・・」
「陛下の質問に答えないつもりか?それともしゃべることができないのか?」
スヴェンが言った。
「いえ、そうではありません。」
あ、スヴェンの質問には答えるんだ、、、
でもこのパターン、幾度となく経験してきたから男の反応にはなんとなくわかったような気がする。
「私が原因ですか?」
私の質問に男は答えない。
じゃあ、やっぱりそうなんだ。
立ち上がると同時にクラウディオが横から走ってこちらへ来るのが見えた。
「拷問しますか?」
スヴェンがこちらに聞く。
私以外の質問には答えるみたいだし、多分そこまでの必要はないだろうと首を横にふる。
もちろん、男に脅しを込めてスヴェンが言ったこともわかっているけど、、、
「まぁ、、、それはおいといて。クラウディオ、どうしたの?」
「陛下、すみません、大したことではないですし、もうご存知かもしれませんが、貴族の方々が病棟の前に集まっておいでです。」
ハァハァと息を切らしてクラウディオは言った。
「城の病棟に?」
「正しくはバイルシュミット卿の治療室の前です。」
何故ついてきたのだろう、、、ってか入城拒否にしておくべきだったな。
さすがにそこまで頭は回らなかった。
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