エリアス・ヴェーラー

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・・・・・ 「あーどっちにしようかな」 「迷いますね。」 次の日の昼、 俺がお嬢様と食堂のメニューとにらめっこをしていると奴がやって来た。 「陛下あああああああ!」 食堂中に大声が響く。 「げ、来た。」 周りの兵士たちもまた始まったという感じで大して反応しない。 「お嬢様、私です。デリック・デュランです!」 声の持ち主はお嬢様のそばまで来ると急ブレーキをかけた。 「知ってる。」 いつもいつもお嬢様を食堂で見かけると結婚の申し込みをしてくる一般兵だ。 毎回断られているのに、メンタルが強いと言うのか何というのか。 「ところで、昨日は食堂に来られませんでしたね。」 「まぁ、昨日はいろいろあって、、、、」 「わかります。忙しいんですね、陛下も。」 こいつ、わかりやがったように言いやがって! 俺は口を開こうとしたがデリックの後ろを追いかけてきた一般兵を見て口を閉じた。 「陛下、ナイト様、いつも申し訳ありません。デリック!君はまた陛下に迷惑を掛けて、、、」 たまに城の中でデリックと一緒にいるのを見かける兵だ。デリックの保護者、というべきだろうか。 名前は確か、、、 「テオ、俺はまだ今日は何も言ってない。」 「心配しなくても、私の返事は決まってる。お断りさせて頂きます。」 そう言うとお嬢様はデリックに背を向けた。 その時だった。 「そうですよね。だって陛下、婚約したんですよね?」 と、どこから声がする。 「あー、そうそう。まぁ、婚約まではこぎつけてないんだけど、、、って誰!?」 「え、こ、婚約ううううう!?そ、そんな俺の恋は、、、、」 デリックが叫ぶと一斉にざわつく食堂。
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