第3幕 人形の殺し方

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「好き…というか…」 「即答してやって!!」 「なんだろうね…? 私、今回分かったことなんだけど… 極端な話、星が生きてこの世にいてくれるなら多分一緒にいられなくてもいいんだと思う。 今もね… 星に会えなくて確かにさみしいんだけど、 私とこの家で二人でいるよりも、 福岡の仲間のトコにいた方が安全だからホッとしてる部分もあるんだ。」 「そんな深イイこと言うなよなァ。 ボクは浅く浅く生きてきたんだからぁ、 そういうの分かんないんだよォ。」 「あ、あぁそう……? ーーそういえばさ、」 高花が星からもらった青い結晶石のペンダントを光二に差し出した。 襖から入ってくる柔らかな朝日の光に反射して、それはうるうると滑らかに輝いている。 「コレ、何なのかなあ? 昨日別れ際に星に渡されて… 使い方はお父さんに聞けって。」 「ああ、それはねぇ、 〝人形の能力のカケラ〟。 渡した相手に少しだけ自分の能力を使わせてあげられるモノなんだってさ。」 「そーなの?ちなみに、星の能力ってたしか…」 ーーーー空をピョンピョン飛び跳ねること? そう聞くと、光二が首を振った。 「ホラ、横浜で見たろ? 大気や土中から鉱物を取り出し構築するーー あれが星の、人形としての能力。 跳躍は西の人形なら誰でもできるから。」 「へえ~!じゃあ、私もこの石を持ってれば…」 「そう、一回か二回くらいは鉱物構築の能力を使えるんじゃないかなあ?」 ーーーだけど、それを渡せば、 渡した分だけ星の能力は落ちるんだよ。 という真実は言わないでおこう。 光二は、恨めしそうに福岡へ発った星へのせめてもの罪滅ぼしのために口を閉ざした。
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