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「近づかないで!近づかないでください!」
警察官の叫び声が聞こえる。
人混みの壁がそびえ立っていてそこから先へ進めない。高花は息を切らせながら地団駄を踏んだ。
仕方ない、人を掻き分けて入って行くしかない。
そう決意した高花が足を踏み出したその時だ。
背後からグイッと腕を引っ張られたのは。
「高花っ!」
驚いて高花が振り返る。
そこには、濃紺の和服を着た背の高い青年がいた。
高花はポカンと間の抜けた表情で彼を見つめる。
「あ…」
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