第1幕 高花と星(こうかとせい)

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回転灯の赤いランプが彼の顔を照らす。 (せい)だ。星がいる。 高花は泣き出しそうになりながら、思わず彼に飛びついた。 「せいっ…!!」 懐に飛び込んできた高花を、呆然と星が見下ろす。 相変わらず和服越しに触れる彼はひんやりしているが、それでも高花はしっかりと彼にくっついた。 「高花(こうか)…良かった」 星も心底ホッとした顔で息を吐き、高花の頭をポンポンと優しく撫でる。 「近くで通り魔が出て女子高生が刺されたというので、来てみたんです。帰りが遅いから貴方じゃないかと…」 「え?私は若い男性が刺されたって聞いてーー」 そう聞き返しながらふと見ると、高花の頭を撫でた星の手に手袋が嵌められているではないか。 珍しいなあ、と高花が訊ねる。 「何?その手袋」 「これは…」 星の瞳が哀しげに揺れる。 訊ねてから高花は気がついた。 今朝の自分の態度が原因だということに。 「あ…の、もしかして私のせい?」 高花が(せい)の和服を掴む。 星は「別に」と高花の肩をそっと押した。 「そういう訳では…」     
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