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回転灯の赤いランプが彼の顔を照らす。
星だ。星がいる。
高花は泣き出しそうになりながら、思わず彼に飛びついた。
「せいっ…!!」
懐に飛び込んできた高花を、呆然と星が見下ろす。
相変わらず和服越しに触れる彼はひんやりしているが、それでも高花はしっかりと彼にくっついた。
「高花…良かった」
星も心底ホッとした顔で息を吐き、高花の頭をポンポンと優しく撫でる。
「近くで通り魔が出て女子高生が刺されたというので、来てみたんです。帰りが遅いから貴方じゃないかと…」
「え?私は若い男性が刺されたって聞いてーー」
そう聞き返しながらふと見ると、高花の頭を撫でた星の手に手袋が嵌められているではないか。
珍しいなあ、と高花が訊ねる。
「何?その手袋」
「これは…」
星の瞳が哀しげに揺れる。
訊ねてから高花は気がついた。
今朝の自分の態度が原因だということに。
「あ…の、もしかして私のせい?」
高花が星の和服を掴む。
星は「別に」と高花の肩をそっと押した。
「そういう訳では…」
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