第1幕 高花と星(こうかとせい)

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ーーー前から分かってたことじゃない。 (せい)は人間じゃないの。 自室に戻り、手提げ鞄に教科書を詰めながら高花は自分にそう教えてやった。 分かっているのに、体温のない星に触れるとどうしても平静を保てない。 ーーーなのに、何びっくりしてるの、私は… 言い聞かせて、部屋を出る。 学校に行けと言ってくれたのは星の優しさだ。普通の人間ではないだけで、彼は何も人と変わらないのだ。 それが分かっているからこそ高花には悔しかった。普通に対応出来ない自分が。 「よーし!次に星に触ってもぜったい普通にしてるぞ!」 意気込んで、高花は部屋を飛び出した。 玄関に行き、靴を履いていると(せい)がやってきた。 「今日は何時にお帰りですか?高花」 「今日はクラブもないし、5時くらいかな?」 答えて、ふと見ると、廊下の棚に置かれた電話の電話線が抜けている。 「あれっ?電話線抜けてない?」 「ああ…本当ですね。後で差しておきます。」 そう答えた(せい)の表情が(かげ)っていることなど、高花には気付けるはずもなかった。
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