01.ナージュの小さな夢

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 お店の扉をパタンと閉めて中へ入ってきたのは、二人の男性だった。  先頭に立っていたのは、まるで熊のように大柄な壮年の男性で、ナージュは大きく目を見開きびっくりした表情になってしまう。  なんとか「いらっしゃいませ」と声をかけると、大男はナージュを見下ろしてきた。 「ずいぶんと小さな店番だな」  大男の声は野太く、そして地を這うような低さだった。  ナージュは思わず身体をびくり、と震わせてしまう。ナージュの様子を横目で見つつ、大男は目の前にある黒い鋼の壮麗な鎧をに向き直った。  上から下までじっくりと眺め、腕を組んで何度も頷く。  しかし、なんて太い腕なんだろう! ナージュは大男の屈強な体つきから目が離せなかった。  こんなに筋肉がたくさん付いている人間を、ナージュはこれまで見たことがない。 「これは……ほぼ完成ではないか! なんと素晴らしい……!」  男のよく響く声に、奥からガリライが顔を出した。ガリライの姿を見とめ、大男がぱっと顔を明るくしてそちらへ向かう。 「将軍、ちょっと来るのが早いじゃないですか」 「はっはっはっ! すまんが、待ちきれなくてな」  二人は奥の作業部屋で何やら話を始めてしまった。なんと、今のお客様はこの国の将軍さまだったらしい。将軍は騎士隊の揃いの鎧ではなく、特別仕立ての銀色の板金鎧(プレートメイル)を装備し、深い藍色の軍衣(サーコート)を纏っていた。確かあの動きやすそうな板金鎧(プレートメイル)も祖父の作品だったはずだ。歩いていても金属がぶつかり合う音が極力しないことも、祖父の作品の特徴のひとつだった。
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