25.永遠の密約 ★ 【最終話】

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 すぐさまテンゲルの唇に吐息まで奪われ、分厚くて熱い舌がするりと口の中に滑り込んでくる。唾液が交じり合い、それが零れないようぴったりと唇同士が合わされた。鼻でなんとか息をしながら、目を瞑る。そうすると感覚が研ぎ澄まされて、テンゲルの舌がいやらしく蠢くのを実感した。  テンゲルとのキスはとても心地よく、劣情を煽ってくる。夢中で唇を追っていると、テンゲルの手が、太ももを撫で上げて柔らかく揉みしだいてきた。ナージュは「ぅうんっ!」とくぐもった喘ぎを上げるが、それさえもテンゲルの口の中に呑み込まれてしまう。  ナージュはテンゲルの素肌に触れたくて、そっと肌着の隙間から手を差し入れる。すぐに割れた腹筋と逞しい胸板の感触がして、ナージュは息を乱した。 「ナージュ……俺に触れたいのか?」  名残惜しそうに唇が離され、テンゲルが?を撫でて聞いてくるので、ナージュはこくこくと頷いた。テンゲルは愛おしそうにナージュを見下ろし額に軽いキスを落とすと、ナージュを組み敷いたまま全てを脱ぎ去った。  薄暗い部屋の中で、盛り上がった筋肉がみっしりとつく見事な体躯が現れ、ナージュは言葉を失う。芸術品のように整った素晴らしい身体だ。最近ついた矢傷の跡をはじめ、多くの傷跡が痛々しく残る裸の肉体は、勲章そのものだった。
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