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母から一昨年亡くなった祖母の縁起物を返してきて欲しいと言われたからだ。
休日に録りためていたアニメやドラマを消化しよう、と自室にお茶とミカンを持ち込んだ時にタイミング悪く言われた。
「今日、予定ないねんな?」
「え?」
嫌な予感しかしないが、母の目はミカンに注がれていて言い訳できそうにない。観念した。
「どこ行かなあかんの?」
「住吉さん。あそこだけまだ残っててん。靴箱の上に置いといたら、馴染みすぎてすっかり忘れてた。すぐ持って行けるようにしてあるから。行ってくれへん?」
「わかった」
「早く帰って来てな。遅くなったら寒なって風邪ひくかもしれへんし、西宮のえびすさんに行く人と一緒になったらあかんから」
時計を見る。
まだ十時だ。行って帰ってきても夜の六時には帰って来れるだろう。
えびすさんに行く人とかち合う可能性はあるが、ピークはなんとか避けられそうだ。
「今から行ってくるわ」
頼みごとをあまりする母ではないのでしぶしぶコートとマフラーをして出てきた。
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