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   アキラは、背中のシートに強く寄りかかった。  そのゴツゴツとしたシートは、アキラに安堵を与える事はなく、  大なり小なり緊張感を与え続けていた。  なぜなら、ここは戦場だから。  アキラの座るシートは、【ライド・ポーン】のコックピットに  あたる場所にある。  その【ライド・ポーン】とは、人型起動歩兵、つまりロボットだ。  人が乗り込んでいるくらいだから、かなりのサイズなのは確かだ。  ポーンは、チェスでいう歩兵の意味。  つまり、乗り込む歩兵、なんと安直なネーミングだろう。  この【ライド・ポーン】に、アキラは少なからず不満を持っていた。  日本人のDNAに刻み込まれていると、言えなくもない、  “ロボットには、必ず顔があるはず”が、ないのだ。  何故か?  それは、外国製だから。答えは単純にしてつまらないものだった。  そもそも簡単に言ってしまえば無人戦闘機型ドローンの成れの果てが、  この【ライド・ポーン】なのだ。  顔を作る余地などハナカラなかったのだ。   
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