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「誰の言葉?」 「…あたしの言葉。」  浩也は思わず笑った。 「名言だね。」 「迷言だって言いたいんでしょ。」 「そんなこと言ってない。」 「でも、思ってる。」 「思ってもないよ。」 「そういうことにしておくわ。あ、化粧 室へ行って来る。」 黎が席をはずしたところで浩也は会計を 済ませた。受け取った釣り銭とレシートを 財布に仕舞うと背後で大きな音がした。 何の音かと考える暇もなく熱を伴った風が 押し寄せる。
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