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テラス席のテーブルや椅子が揺れた。 ガラス窓が震える。その場にいた人々が 悲鳴を上げた。大声で叫んでいる者もいる。 風を避けた浩也は黎の姿が見えないことに 気がついた。 「黎、何処だ? 何処にいる?」 揺れて歩きにくい建物を出るのに手間 取った黎は外の騒ぎに驚いた。浩也に 気づいて走り寄る。 「浩也!!」 黎がいて安堵した。しかし、悠長なことは 言っていられない。 「つかまれ。」 浩也は黎の腕を掴んで彼女を引き寄せると 自分のコートで包んだ。
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