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ピアノの旋律が鳴り響く。
誰かがいなくなってしまった悲しみ、もう二度と会えない悲しみ、考えれば考える程無意味だというのに、考え続けなければ狂ってしまいそうな悲しみ、分かち合うことは永遠に出来ないという。
僕からしたらそれほど昔でもない話、あいつと知り合う前の話、何の関係もない話。
でもあいつからしたらそれは近い過去なのか、もしくはそこで時間が止まってしまっているのか。
あいつからその話を聞いたのは何気ない会話の流れからだった。
僕はあいつに特に興味がなかったから、よくある悲しみの一つなんだと思いながら聞き流していた、聞き流せたのに。
あいつがあんなに悲しい旋律を奏でるせいで。
生き急ぐような旋律のせいで。
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