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「……大倭の者はみな、お前のような髪や目の色をしているのか」
「いえ。私が暮らしていた地は大倭の中でもさらに辺境の地。髪色はともかく、目の色は血の繋がった者にしか受け継がれていません」
「血の繋がった――とは、きょうだいもそうか」
「妹がひとり。……ですが、同じ色ではなかった」
“きょうだい”と口にするだけで、ひとりの女の顔が脳裏に浮かび苦々しい気持ちになる。
血を分けた妹でも、受け継ぐ色が違う。
それは、私とクレア――クレア―シェも同じだった。
奴も、世界にひとりだけと言われる青銀の髪と目を持って生まれてきた。
自分だけが特異な色を受け継ぐことは、人と違うということは――どういう心境なのだろうか。
「い、妹は何か言っていたか。その、兄であるお前と違う色であることを」
「さて……羨望の眼差しを向けられることはありましたが、彼女の本心を聞いたことはないので何とも」
「そうか……」
「……もう、聞くこともできないので永遠にわかりませんが」
私の隣の椅子に腰かけながら小さく零し、コウは俯いてしまった。
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